非積極的な医師
2つ目のYクリニックを訪れたのは約半年後。とにかく前のクリニックは相性が合わないと感じていたので、家から自転車で通える範囲で不妊治療をやっているところ、というくらいの条件で探した。そこはいわゆる普通のレディースクリニックで、子ども連れのママも来るし、子宮頸がんの定期検診に訪れる人もいたりと、どこかのんびりとした空気が流れていた(前回のSクリニックは空気がピンと張り詰めていて、皆が不安を持って待合室に座っているようだった)。
私たち夫婦は、Sクリニックで得た検査結果の用紙を医師に見せて、悪いところは見つからなかったのだけどどうしたらいいのか聞いてみた。もう一度検査し直すのでも、タイミング法から試してみるのでも、とにかく不安を解消できるのであればどんなスタートでもいいと思っていた。が、こともあろうかその医師は、ちらりとその用紙を眺めたあと、「……で、どうしたいの?」と聞き返してきたのだった。
いや、、こちらが聞いているのだよ、どうしたらいいのか。。。こんなに非積極的な医師に任せて大丈夫だろうか…。
でもせっかく勇気を振り絞ってこのクリニックに来たんだし、できることからやらせてもらうしかないと思い、とりあえず月経周期に沿って卵を観察していくことから始めることにしてもらった。しかし、観察するだけだと保険が効かないと言われ、漢方薬を処方してもらうことに。基礎体温を上げる効果のある漢方とのこと。
こうしてなんだか期待と違った感じでYクリニックへの通院が始まった。
初クリニックの医師は目が死んでいた
不妊治療のために私は結果として5つのクリニックと病院を経験してきました。当初はそんなにお世話になるとは夢にも思わず。5つも通えばそれぞれ治療方針も違うし、いろんな医師がいて当然性格も考え方も違う。初めて通ったクリニックは、今思うと早々に切り上げてよかったな…と思うのであります。
ブライダルチェックというには遅すぎるけど、結婚して2年ほど経ってから近所のSクリニックを夫と二人で訪れた。健康体そのものの私たちだったから、軽い気持ちで一通りの検査を受けてみようという感じ。結果的にはフーナーテストだけ引っかかって抗精子抗体の血液検査を受けることになったが、それも問題なかった。
だけど今でも忘れない、その結果を伝えてきた女性医師があまりにもひどい無表情だったことを。目が死んでいた。私は初めての検査で不安でたまらなかったから、その検査結果がセーフでほっとして医師に笑ってありがとうございますと言ったけれど、その医師は表情筋を一切動かさず流れ作業の一つといったような顔。紙切れ一枚をピラリと渡してきただけ。こんなに心のない表情をする医師がいるのかと、びっくりした記憶がある。そういえばこの女性はこのクリニックの看板医師として雑誌などにも華やかに載っていたはず。メディアに惑わされてはいけないな、と感じた一件であった。
結局そのクリニックでは不妊の問題点が見つからず、しかも夫が3ヶ月ほど海外出張に行く予定だったので、特に治療を開始するわけでもなく終了。帰国した後、他のクリニックへ転院することにしたのでした。